内と外のギャップに気づく
「何も悩みが無くていいね!」
これは私が高校時代、クラスの女子から突然に言われた言葉だ。
何の脈絡もなく、一言だけポツリと突然に、だ。
どうやら彼女は私の表情や外見などを見てそう言い放ったようだ。
きっと、深く考えずに言っただけなのだろうが、
かなり皮肉っぽい口調だった。
そのころ、自分など世の中にとって価値がない、
死にたい、消えたいという気持ちを抱えながら
毎日やっとの思いで生きていた私の現実とは
あまりに乖離した思いがけない衝撃的な言葉だった。
頭の中がみるみる「?」マークでいっぱいになった。
まず、その進学校に入ってすぐ、たった1ヵ月間で
私は6~7キロも痩せてしまっていたのだ。
ダイエットしていたわけでもないから、ストレス痩せというやつだろう。
あんなに短期であそこまで激やせしたのは
過去の人生であの一度きりだった。
その高校は、通学のための交通費を出したくないという理由で
ムダを嫌う母から「家から近いから〇〇高校に行きなさい!」
と強いられて受験し入ったところだ。
生徒の大半が男子だが、賢い生徒ばかり揃っているせいなのか
入学以来、校内でイジメや汚れたトイレなどは一度も見たことがなかった。
不良っぽい子が何人もクラスに居たり
教室やトイレが汚く荒れていたりした中学時代に比べれば、
環境が劇的に良くなっていたはずだ。
なのに、その高校に入学してから突然に
もともと太っていたわけでもない私が激やせしたのだ。
そのころの私は毎日這うようにやっとの思いで登校し
帰宅すればベッドに倒れ込むという状態だった。
帰宅後、ベッドにぐったりしている私を見かけたお母さんが
気づいて優しい言葉をくれるといいな・・・
じつは心ひそかにそんな淡い期待も抱いていた私だった。
ところが、瀕死の私を発見した母の口から
投げつけられた言葉は予想外のものだった。
母は私を見るなり
「まあ…
あなたはお母さんをどうしてそんなに悲しませるの?!」と責めてきたのだ。
「そうか・・・
私はどんなに弱っていても、世界でたった一人の
お母さんにさえ甘えてはいけない人間なんだ」
そんな底知れぬ孤独と絶望を強く自覚したのもその頃だった。
こんな瀕死のモヤシのようにやっと生きのびていた私がナゼ
「何の悩みも無くていいね」などと言われたの?
かたや、私から見るとその女子こそ、
クラスメイトと毎日楽しく青春を謳歌しているのになぜ・・・?!😔
その女子も含めた同級生らは、暗黒の闇の中で暮らす
自分とは、全くの別世界で生きているように見えた。
もちろん、学校には友達と思える子も皆無だったし、
一言も人と会話せず下校することが珍しくなかった。
なのにナゼ・・・?!
そうか、きっと自分という人間は、
外見と内面に大きなギャップがあるんだ・・・。
もしかしたら世間の「常識」をはるかに
超えるくらいの、あまりに大き過ぎるギャップが。
外見はすごく明るく元気で幸せそう。
なのに内面が真逆・・・
突然にクラスの女子から言われた冒頭の言葉が
それに気づくための大きなキッカケになった。
それ以降も、大人になって結婚してからも、
他者が私を外から見たイメージと
私自身の内面で自覚している闇の間のギャップに気づかされ
愕然とするという経験が続いて行った。